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さて昨今、“食”に対する関心が高まっています。
食べ物そのものに対する危機感や強いこだわりだけではありません。
無頓着に続けている食習慣の見直しやスローフードへの傾向。食卓を囲むことの意義など。
本や雑誌での特集では、“食”にまつわるさまざまなことに触れる楽しさをテーマにしているように思います。
その延長に、器の特集がファッションのように組まれるようになりました。
「今、白い器に人気が集まっています。」と平松さん。
「まず、白い器はごまかしが効かない。食材や料理の質そのものが顕わになるので、例えば料理人にとっては、非常に恐い色の器だといえます。社会的に食べ物
に対して敏感になっていることも、白い器がよく取り上げられる背景になっているのかもしれません。
一方で、和食器を扱う店主から、白い器、つまり粉引きを購入して使った後、客からクレームや問い合わせが多いとよく聞くことがあります。シミができた、
食べ物の色がうつった。、ヒビがあった‥‥。基本的な陶器の知識や扱いさえ知っていれば、何も問題にならないはずのことが増えているように思います。
同じような話は、漆になるともっと深刻。
漆の器を電子レンジにかけた、食器洗浄器に入れたら剥げた‥‥‥。
漆の正しい扱い方が、理解されていないのですね。漆を使う上で大切なことのひとつは、洗った後に拭きあげること。それを続けた漆は、別人のような風情に育っていくことを、ぜひ知って欲しいと思います。」

なるほど。
手にとり、使い、手入れをしてみて、わかっていくことがあります。
磁器や洋食器だけでは得ることのできない白い和食器、つまり粉引きの質感は、同時にそれなりの配慮や手入れを要するもの。使い慣れている人に当たり前の基本的な器の知識や習慣は、世代によって、確かに乏しくなってきました。
ヒビと見えた貫入(かんにゅう)を自分で育てる目をもてるようになるにも、使い続けていかなければわかりません。
餃子作りを教えようと平松さんが「麺棒を持参するように。」と言ったら、疑いなく“綿棒”を連想する人が現れてびっくりとか。日常で使ったことがない、生活に根付いていない道具は、わからない。当然
、扱い方もわからない。私たちの中には本当に浸透していかない。
文化が廃れる早さを、改めて考えさせられました。身近な出来事になると、余計にハッとさせられます。
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